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II. 加熱とおいしさ
①みりんとイソマルトオリゴ糖

みりんは、糖分が約半分を占める高糖濃度の調味料です。みりん中の糖類は、主にでん粉が麹酵素のα-アミラーゼ、グルコアミラーゼやトランスグルコシダーゼの作用によって、加水分解や糖転移反応により生成されたものです。
麹酵素により生成された糖質の中には、イソマルトオリゴ糖が含まれています。イソマルトオリゴ糖は、塩角をとり、味をまろやかにする働きがあると言われています。
みりんの味が、ぶどう糖や砂糖単独の甘味とは異なり、穏やかで上品な深みのある甘さを呈する。
これは、醸造による調味料のすぐれた点であると考えられます。

②麺つゆとイソマルトオリゴ糖

● 麺つゆの中のみりんに含まれるイソマルトオリゴ糖のはたらき

麺つゆの中のみりんには、つゆの塩角をとり、まろやかな味わいに仕上げる働きがあります。これには、みりんに含まれるイソマルトオリゴ糖が作用していると考えられています。
弊社で行った味覚センサーを用いた分析から、イソマルトオリゴ糖を配合した麺つゆは、みりんを多く配合した麺つゆと同様に塩角がとれる効果があることが裏付けられました。

● 加熱による効果

イソマルトオリゴ糖は、アミノ酸共存下での加熱で起きるメイラード反応によって、よりおいしさに貢献することができます。
イソマルトオリゴ糖、ぶどう糖それぞれのメイラード反応物を麺つゆに添加し、実施した官能評価の結果から、イソマルトオリゴ糖のメイラード反応物は、ぶどう糖のメイラード反応物に比べ味をまろやかにする効果が高いことが示されました。また、麺つゆの旨味が強く感じられる傾向や醤油の味が弱くなる傾向があり、全体の味のバランスを整え、熟成させたような味わいに近づける効果がある事も示唆されました。

● 麺つゆの揮発性物質について

GC/MSにより、麺つゆの揮発性成分を分析した結果、イソマルトオリゴ糖のメイラード反応物を添加した麺つゆは、ぶどう糖のメイラード反応物を添加した麺つゆや無添加の麺つゆより酸類の刺激的なにおいの抑制がみられる一方で、香ばしいにおいと考えられるピラジン類やフラン化合物の揮発の抑制はみられませんでした。
このことからイソマルトオリゴ糖は、香りの面でも、まろやかでおいしい麺つゆを作ることを可能にする糖であると言えます。