昭和産業株式会社

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プロジェクト02 レンジでチンするから揚げ粉商品開発プロジェクト 商品部業務推進課 戸田明宏 × 商品開発研究所家庭用グループ 松井陽子

電子レンジで、通常のから揚げと遜色ないものを。

かつて業務用のから揚げ粉は好調だったが、家庭用の売上が伸び悩んでいた時期があった。この状況を打開したのが2011年3月に発売された『レンジでチンするから揚げ粉』だ。「2008年あたりから、フライパンで焼き上げるタイプのから揚げ粉が市場に浸透しはじめていました。昭和産業としても新しい取り組みが必要だと考え、2009年から揚げずに作れる揚げ物のテーマ検討をはじめたんです」。そう話すのは当時産休育休から復帰した直後で、家庭用の「揚げないから揚げ粉」の開発を担当することになった松井陽子だ。
一方、販売側である食品部のパートナーとなったのは、その前年に大阪支店食品課から本社食品部に異動してきた戸田明宏。彼は松井に「食品部としては家庭用から揚げ粉市場に、電子レンジを使って通常のから揚げと変わりないものが出来る商品を投入し、昭和産業の販売シェアアップを図りたい」と相談を持ちかけたと言う。

松井の開発者魂に火をつけた数々の「無理難題」。

「すでに市場にあったフライパン調理品を後追いするのではシェアアップは達成出来ないと感じていました」(戸田)。しかし開発の難しさを知る松井にすれば「無理難題」に近いオーダーに思えた。なぜなら、から揚げ粉をまぶした肉をレンジで加熱すると肉の内部から染み出した水分で、衣がベチャベチャとしてしまい「通常のから揚げ」とは程遠い食感となってしまうのだ。その上レンジ調理では肉の温度を100度以上に上げられないため肉の臭みも残ってしまう。「作っても作ってもダメ出しの嵐。『これは、から揚げではない』、『肉の臭みが気になる』と何度言われたかわかりません」(松井)。だが食品部からの厳しい評価が結果的に松井の開発者魂に火をつける。「意地でも『おいしい』と言わせたくて200種類以上の素材は試したと思います。」(松井)。少しでもヒントになればという思いから、松井はおむつに用いる「吸水ポリマー」といった食品とはかけ離れた素材を試作用キッチンに持ち込むほど、実験にのめり込んでいく。

試行錯誤の果てに見つけ出した課題解決の糸口

4月のプロジェクト発足からおよそ5カ月。松井はようやく一つの答えにたどり着く。加熱しても状態が変化しにくいコーングリッツという素材を衣に用いることで、課題が克服出来ることがわかったのだ。「見通しが立ったのは良いのですが、販促の立場としては来春の新商品として市場に投入したい。しかし、すでに
9月。時間的な猶予はありませんでした」(戸田)。
時間が迫る中、戸田たちは早々に販売方針と営業戦略を策定。営業担当者向けの講習会を実施したところ、製品の評価は非常に高かった。年明けに開催されたバイヤー向け展示会でも、通常のから揚げと遜色ないという評価が得られ手応えを感じたが、まだ安心は出来ないと思ったと言う。ふと、業界に伝わる『玄人受けする商品は売れない』というジンクスが頭をよぎったからだ。だが、何としてでも成功させたいという思いだけは決して揺るがなかった。

当初目標の2倍を売り上げ名実ともに大ヒットを果たす。

戸田の心配をよそに『レンジでチンするから揚げ粉』は初年度から目標の2倍以上の売上を達成し大ヒット商品の仲間入りをする。注目を集める一助となったのが、商品開発研究所の推した斬新なパッケージだ。松井は商品パッケージ担当の管千香とともに「従来のから揚げ粉とは別次元だということを示すために、から揚げの仕上がり写真をレンジと同じくらい大きく扱ったり、金色のパッケージを強く推したりした」という。 当初は反対していた戸田だったが、売れ行きを見て脱帽せざるを得なかった。「店頭に並んでいる姿も壮観でしたし売上も良かったからです。彼女たちの意見を取り入れて良かったなと思いましたね」(戸田)。

プロジェクト後記