昭和産業株式会社

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プロジェクト02 レンジでチンするから揚げ粉商品開発プロジェクト 食品部販売第二課 今井耕二 × 商品開発研究所 家庭用グループ 白取真希子

取材当時の内容・所属部署です。

新たな事業の柱を作るべくスタートした新規プロジェクト。

2012年暮れ、家庭用商品の販売を担う食品部内で、新商品の検討が始まった。業界トップクラスの販売実績を誇る天ぷら粉やホットケーキミックスに次ぐ、事業の柱を模索するためだ。議論の末、白羽の矢が立ったのは「お好み焼粉」。安価な具材で作れて栄養豊富なお好み焼きは、家庭用ホットプレートやフライパンで簡単に調理出来る手軽さがある。関西以西では喫食頻度が高くお好み焼粉の消費量も多いが、他のエリアではまだ伸びしろがあるという仮説のもと、2014年4月に商品開発センター(現・商品開発研究所)家庭用グループのメンバーを加え、プロジェクトチームが発足した。しかしこの時点では、過去に販売したお好み焼粉を超えるアイデアも、圧倒的な売上を誇るライバルを押しのけシェアを奪取するだけの秘策があるわけではなかった。プロジェクトメンバーはこの後、これまでに積み上げた分析力と開発力に加え、既成概念を打ち破る勇気が試されることになった。

消費者への意識調査で見つけた商品開発のヒント。

5年間の大阪支店勤務を経て、本社に戻ったばかりの今井は、天ぷら粉やから揚げ粉を含む無糖ミックスカテゴリーの営業リーダー経験を買われこのプロジェクトに加わった。「天ぷら粉で勝ててもお好み焼粉では勝てていない。そのような状況を打開するには、いままでにないアプローチが必要だと感じていました」(今井)。一方、プロジェクトに参加することになった白取は、商品開発センター(現・商品開発研究所)ベーカリーグループから家庭用グループへ異動したばかりで、当初は不安で一杯だったという。「当時はこれといった開発実績もなく、また関東出身なのでお好み焼きについて知っていることも限られていました」(白取)。そんな彼らがまず取り組んだのが消費者の意識調査だった。「これまでも成分を工夫しておいしさを追求していたつもりでしたが、そもそも家で食べるお好み焼きは『べちゃついておいしくない』という回答が数多く見受けられました」(今井)。

開発コンセプトを固めるため、一般家庭に足を運び
調理を観察。

そこで彼らは、家庭でお好み焼きがどのように調理されているのかを確かめるため、一般家庭に足を運んで観察することにした。「具材も水も目分量。生地の混ぜ方や焼き方も自己流。焼き上がるまでに何度もフライ返しで押し潰したりする方も多かったですね。また、ふっくら仕上げるためには、フタをする事がかかせませんが、フタを使っている方がその時の調査ではいらっしゃいませんでした」(白取)。まさにそれがお好み焼きがおいしくできない原因だった。確かにパッケージの説明通りに作ればおいしく作れる。しかし細かい文字だけでわかりやすく伝えるのは難しい。調査を通じて計量カップやはかりがない家庭が多いこともわかった。「それなら『簡単においしく作れること』に集中しようと。開発コンセプトが固まった瞬間でした」(今井)。そこから100を超える配合を試す日々が数カ月間続くことになる。「最終的には、水の量や焼く温度に多少違いがあっても、ふっくらとした食感を実現することが出来ました」(白取)。

配合にこだわるだけでなく、パッケージにも細心の注意を払う。

パッケージにも工夫を凝らした。売り場で埋没しないよう外装のメインカラーは異例の紫色を使用。また魔法の如く失敗せずにおいしく作れるというコンセプトで、3つの特徴(①使い切りの小分けパックを採用し、目分量で生地を作ることにより失敗するリスクを軽減、②こだわりの配合でふっくら美味しく焼ける、③見やすいレシピでコツが分かる)をアイコンでわかりやすく表記した。裏面にはイラストを交え、おいしく作るためのコツや混ぜる回数、生地の直径、理想的なキャベツのサイズまで表記した。パッケージにキャベツとお好み焼きの大きさを測るための目盛りを入れたのは業界初の試みだった。「せっかくここまで作り込んだからと、テレビCMの作成を経営陣に上申し、了承を頂きました。結果、お好み焼きでは異例の人気アイドルの起用につながり、商品の話題性を喚起できたと思います」(今井)。2014年9月「おいしく焼ける魔法のお好み焼粉」と名付けられたこの新商品は、販売開始当初から計画を上回るペースで売れ続け、いまや昭和産業が誇る人気商品の1つになっている。「初めての商品開発でしたが、レンジで温め直してもふっくらしているお好み焼きを作れるお好み焼粉が出来たと自負しています。パッケージ表記にもこだわった甲斐がありました」(白取)。「『魔法の~』は、前例のないアプローチで作った商品です。多くの困難に直面しましたが、いまは乗り越えるだけの価値がある苦労だったと思っています」(今井)。

プロジェクト後記