家庭用(B to C)商品開発ストーリー

もう揚げない!!焼き天ぷらの素

  • M.N.
    開発担当
    M.N.
  • I.M.
    マーケティング担当
    I.M.
  • K.N.
    営業担当
    K.N.

「天ぷら離れ」という壁
家庭での「天ぷら」復権を掲げた挑戦

2021年、家庭用商品の開発・販売を担う部署で、ある挑戦的な取り組みが動き出した。ターゲットは、日本の食卓の定番でありながら、家庭での調理には少しハードルを感じられることも多い天ぷらだ。 「天ぷらは好きだが、家で揚げるのは面倒だ」。この消費者の不満を解消し、昭和産業の新たな顔となる商品を創り出すべく、若手によるチームが結成された。彼らが掲げたコンセプトは、わずかな油でフライパンで「焼く」だけで、揚げたてのようなサクサク食感を実現するという、前代未聞の「焼き天ぷら」であった。

「揚げる」と「焼く」の融合
社内の知見を結集した技術革新

開発の最大の壁は、わずかな油で「天ぷら特有の衣付き」と「持続するサクサク食感」を両立させることだった。もともと市場には「天ぷらをできるだけ少ない油で揚げたい」というニーズはあり、昭和産業だけでなく業界全体で「もっと油を減らせないか、もっと簡単にできないか」という課題を認識していた。「ただ正直、最初は『天ぷらを焼いて作るなんて無理でしょ』と私自身も思っていたんです(笑)。天ぷらは“揚げる”のが当たり前ですから。」(開発担当 M.N.)。しかし上司から「まずはやってみなよ」と裁量を任されたこともあり、M.N.は固定概念を捨て、他分野の門を叩く。 昭和産業が長年培ってきた「お好み焼粉」や「ホットケーキミックス」といった、粉を「焼く」技術。そして「揚げる」技術。社内のあらゆる知見を融合させ、百パターンを超える試作を繰り返した。

SNSでの投稿を皮切りに
プロモーションを強化

2022年9月、ついに『もう揚げない!! 焼き天ぷらの素』が発売された。「最初にこの話を聞いた時は正直「売れるのか?」と不安でした(笑)。」(営業担当 K.N.)。どこのスーパーでも天ぷら粉の棚はすでに飽和状態で、一等地の確保は非常に難しい。そこに「焼く天ぷら」という全く新しい、ある意味「異端」の商品をどうねじ込むか。しかし当初こそ苦戦したものの、「油の片付けが簡単」という点が、今の共働き世帯や単身世帯のニーズにピタリとハマり、徐々に棚に並んでいった。さらにはフライパンなどの調理器具と一緒に陳列してもらうといった、新しい提案も受け入れてもらえるようになっていく。そして予想外のところから火がつく。とあるインフルエンサーがSNSで「焼き天ぷらの素はキャンプで天ぷらができて最高だ」と絶賛したのだ。 マーケティング担当 I.M.はこの波を逃さなかった。「油の処理が難しいアウトドア環境において、フライパンで焼くだけでいい本商品は、キャンパーの方々にとって画期的な商品でした。 そこから「キャンプ飯」としての認知が一気に広まり、SNSでの口コミ数が急増しました。」(マーケティング担当 I.M.)。SNSでの拡散が続き、テレビ番組やウェブニュースなどにも多く取り上げられた。 この好機を捉えプロモーションを強化し、ビールメーカーやアウトドアブランドとのコラボ企画も実現。『揚げなくていい』という驚きが、人々の潜在的なニーズを呼び起こし、大きな反響へと繋がった瞬間だった。

常識を覆すヒット
広がる「焼き天ぷら」の可能性

営業担当 K.N.の元には、スーパーなどから注文が殺到する。メディアで紹介されるたびに注文が殺到し、一時は深刻な供給不足に陥る。「せっかく注文をもらっているのに、商品が届けられないという状況で、M.N.をはじめとする開発や工場の担当者には本当に無理を言いました。」(営業担当 K.N.)。「あの時は本当に大変でしたが、営業のK.N.さんやマーケのI.M.さんが現場の熱量をそのまま伝えてくれたので、『何としても期待に応えたい』とチーム一丸になって取り組みました。」(開発担当 M.N.)。こうして『もう揚げない!!焼き天ぷらの素』は昭和産業の新たなヒット商品として不動の地位を築いていった。「『天ぷらは揚げるもの』という常識を疑うことから全てが始まりました。自分のアイデアで新しい市場を作り出したいという熱意のある方と一緒に働きたいと思っています。」(マーケティング担当 I.M.)。

「M.N.」 「I.M.」 「K.N.」

プロジェクト後記

本プロジェクトは、2021年7月のニーズ調査開始から2022年9月の発売まで、実質1年強という異例のスピードで駆け抜けた。インフルエンサーによる紹介やテレビメディアへの波及、さらには他業界とのコラボレーションなど、これまでの枠に捉われないアプローチが功を奏した結果である。若手社員たちが立場を超えて本音でぶつかり合い、一つひとつの課題を共に乗り越えた経験は、現在のチームの強固な信頼関係の礎となっている。 現在、この『もう揚げない!!焼き天ぷらの素』は、昭和産業の看板商品の一つへと成長を遂げた。若手メンバーの柔軟な発想と情熱から生まれた「焼き天ぷら」という新しい選択肢は、これからも多くの人々の食卓に、手軽でおいしい喜びを届けていく。