今や私たちの生活に欠かせないプラスチック。朝起きてから眠りにつくまで、プラスチックを利用しない日はないほどです。ペットボトルやレジ袋、スプーンやストロー、子供たちのおもちゃや文房具、化粧品や食品の容器etc.。しかし、プラスチックの多くは「使い捨て」され、大量の"ごみ"として川や海に流出してしまっていることをご存知でしょうか。新聞やテレビのニュースでプラスチックごみを誤って食べたクジラやウミガメの写真にショックを受けた方も多いと思います。世界中で使われたプラスチックがごみとなって海へ流れ込み、海洋汚染を引き起こしているのです。
もちろん、問題は海だけにとどまりません。プラスチックを燃やせばCO2(温室効果ガス)を排出し、地球温暖化を進めることにもなるのです。そこで、このコーナーでは「プラスチックごみと地球環境問題」をテーマに、世界と日本の現状、私たちができることなどをご紹介。私たち一人ひとりが意識を少し変えるだけでできることはたくさんあります。未来に向けて、今こそ「我が家のプラスチックごみ対策」を家族や友人と話し合ってみませんか。
こんなに捨ててる!!
数字で見るプラスチックごみ
冗談ではなく、これが現実なんです。
海に流れ込んでいるプラスチックごみはどのくらい?
図1 国連によると、年間800万トン(重さにして、ジャンボジェット機5万機分)のプラスチックごみが海に流れ込んでおり、その総量はすでに1億5,000万トンを超えるといわれています。
私たちはプラスチックを食べている!?
図2 海に流れ込んで小さい破片となったプラスチックを魚や貝が飲み込み、それを人が食べる......食物連鎖を通じた人への影響が心配されています。最近では、なんと、1人当たり1週間にクレジットカード1枚分(5g)のプラスチックを摂取しているという研究報告も出されています。
世界と日本。使い捨てのプラスチックってどれくらい?
図3 プラスチックの総生産量は全世界で年間4億トン以上。そのうちの36%は容器やトレー、レジ袋などの使い捨て用途です。驚くことに、日本では60%以上のプラスチックが使い捨てにされてしまうのです。
日本の周りはマイクロプラスチックごみがいっぱい!
図4 日本近海には、世界平均の27倍ものマイクロプラスチックが集まっているという調査結果があるほど、海流などの影響で日本の周辺海域にはものすごい量のプラスチックごみが流れ着いているんです。
想像してください、未来の海
図5 海に流れ込むプラスチックを減らすことができなければ、2050年には海にいる魚すべての重量よりプラスチックのほうが重くなるという研究報告があります。いったいどんな海になってしまうのでしょう。
身近なことからプラスチックごみ問題を考えてみましょう
世界環境を脅かしているプラスチックごみ問題。美しい地球、そして安全な環境を未来の世代に残すために私たちは何ができるのでしょうか。環境問題を研究する松本真由美さんに現状と課題についてお聞きしました。
松本 真由美さん
東京大学 教養学部 附属教養教育高度化機構
環境エネルギー科学特別部門 客員准教授