気候変動への対応

CO2削減(TCFD提言への対応)

昨今、気候変動が社会、企業活動に与える影響は非常に大きくなっています。昭和産業グループは「穀物ソリューション・カンパニー」として、大地の恵みである穀物を多種多量に扱っており、特に気候変動は社会が直面し、対応が急務である重要な課題の一つとして認識しています。当社グループは、TCFD提言に沿って「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目の情報開示を進め、ステークホルダーの皆様と積極的な対話を図っていきます。

1. ガバナンス

重要な気候関連の「リスク」および「機会」を特定し、適切にマネジメントするために、社長執行役員が委員長を務め、各部門統轄全員が副委員長となっているサステナビリティ委員会傘下の環境管理委員会に、専門委員会としてTCFD委員会を設置しております。TCFD委員会は、TCFD提言に基づくシナリオ分析により「リスク」と「機会」を特定し、毎年それらの対応に関する計画を策定し、遂行状況についてはサステナビリティ委員会および環境管理委員会を通じて経営会議の承認を経て、取締役会に年1回以上報告しています。

TCFDガバナンス体制

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2. 戦略

2022年度は前年度に続き、当社グループ内で最も環境負荷が大きい「糖質事業」の分析・評価を継続し、次に環境負荷が大きい「製油事業※1」についての分析・評価を行いました。これにより、当該2事業で当社グループ全体のCO2排出量(Scope1・2)の約82%、水使用量の約95%(対応開始時に算出した2019年度の数値)について分析・評価を行ったことになります。
シナリオ分析にあたっては、TCFD委員会と各事業に関わる各部門やグループ会社が一体となり議論を行いました(管理体制の詳細は【3. リスク管理】を参照)。2021年度に実施した糖質事業の分析・評価で培った手順や手法を、2022年度に実施した製油事業の分析・評価に活用し複数の事業間で情報を共有することで、本取り組みを当社グループのレジリエンスの強化にもつなげています。
また、当社グループとしての環境目標達成に向けた取り組みを行う「CO2排出量削減部会」や「水使用量削減部会」の他に、糖質および製油の事業戦略の企画・推進を担う「事業系戦略推進委員会」とも連携しています。
今後は糖質、製油事業以外の「製粉事業※2」へと分析対象事業を拡大し、グループ全体での気候変動に対する対応力向上を図り、情報開示を継続する予定です。

シナリオ分析のステップ

  • ステップ①
    気候変動が当社グループにもたらす「リスク」と「機会」を特定し、事業に与えるインパクト(事業インパクト)をナラティブに表現。
  • ステップ②
    事業インパクトの大きさを軸に、「研究開発」「原料調達」「輸送・保管」「生産」「販売・マーケティング」「配送」のサプライチェーンの6項目それぞれに「リスク」と「機会」の重要度を優先順位付け。
  • ステップ③
    シナリオを定義し、ステップ②で抽出した重要度の高い「リスク」と「機会」を踏まえ、PEST分析や5forces分析等によりシナリオごとの当社グループの世界観を整理。
  • ステップ④
    社内外のデータを活用し、ステップ③の世界観も踏まえつつ事業インパクトを定量化し、気候変動が及ぼす影響を可視化。
  • ステップ⑤
    当社グループの「リスク」と「機会」に関する対応状況を整理し、中期経営計画等の事業戦略に反映すべく検討を継続中。

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3. リスク管理

【1. ガバナンス】で記載した体制に加え、TCFD委員会は環境管理委員会内の環境4部会※3および事業系戦略推進委員会と連携し、重要な「リスク」および「機会」の特定を行います。
また、サステナビリティ委員会傘下のリスクマネジメント委員会は全社のリスク管理を行う委員会であり、TCFD委員会で特定されたリスクの影響額と発生頻度の二軸からリスクをモニタリングし、リスク低減のためのPDCAサイクルと当社グループ全体の目標進捗を確認しています。

TCFD管理体制

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4. 指標と目標

当社グループでは、「昭和産業グループ環境目標」としてCO2排出量、食品ロス、水使用量の削減目標を設定しており、2023年4月には新たにプラスチック使用量の削減目標を追加しました。
引き続き、環境配慮を当社グループの大きな使命と認識し、各種活動を推進します。

環境負荷の低減

  1. ※1 当社グループの報告セグメントである「食品事業」のうち、業務用および家庭用の食用油、大豆たん白、脱脂大豆、菜種粕、脱脂米ぬかなどの製品・サービスを取り扱う事業範囲を指します。
  2. ※2 当社グループの報告セグメントである「食品事業」のうち、業務用および家庭用の小麦粉、プレミックス、パスタ、ベーカリー類などの製品・サービスを取り扱う事業範囲を指します。
  3. ※3 従来の「CO2排出量削減部会」「食品ロス削減部会」「水使用量削減部会」に加えて、2023年度より「プラスチック使用量削減部会」を設置しました。