リスク情報

当社グループでは、「リスクマネジメント基本方針」に基づきリスクマネジメント委員会を設置し、企業経営に対する重大なリスクへの適切かつ迅速な対応の強化に取り組んでおります。年1回、経営目標の達成を阻害する可能性のあるリスクを洗い出し、それらについて「経営への影響度」と「発生可能性」の両面で評価を行いリスクの重要度を決定します。重要度の高いリスクについては、部門統轄役員の管理の下で主管部署が対策を講じることによりリスクの最小化に取り組んでおります。こうした取り組みは、リスクマネジメント委員会での審議を経て、経営会議及び取締役会に報告され、経営層からの継続的な監督を受けております。また万が一、危機が発生した場合は、対策本部を設置し、迅速かつ的確に対応することで、影響の極小化に努めてまいります。
認識しているリスクのうち、当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性が特に高いと判断しているリスクには以下のようなものがあります。
また、各リスク項目ごとの文末における[]につきましては、リスクが顕在化した際、当社グループが掲げております、長期ビジョンの※基本戦略の内、主に影響を受ける戦略を示しております。

  1. 原料穀物調達(穀物相場・為替の変動等)
    当社グループにおける主要製品の原料となる小麦、大豆、菜種、トウモロコシ等の穀物は、主に海外から調達しております。そのため、原料コストは、穀物相場、為替相場及び海上輸送運賃の変動による影響を受けます。また、小麦については主に国の政策に基づく売渡制度により調達していることから、国際貿易交渉の進展等により、その管理手法に大幅な変更があった場合には影響を受ける可能性があります。
    穀物相場や為替相場、エネルギーコストの急激な高騰は、製品原価を押し上げ、当社グループの経営成績を大きく左右する可能性があります。影響を最小限に抑えるべく原料価格に見合った適正な製品価格への転嫁、コスト削減施策の実施等に努めております。加えて、為替相場の変動リスクを軽減するために、予め決められたルールに基づき先物為替予約取引を含むデリバティブ取引を一部利用しております。
    原料穀物を継続的に確保するために、生産地での異常気象や輸出国の物流障害等に備えて調達地域の分散を図っております。また、小麦については我が国の主要食糧の安定供給を図る観点から国が一元的に輸入しておりますが、不測の事態に備えて2.3ヶ月分の備蓄在庫を保有しております。飼料用穀物は、災害発生等の緊急時の復旧期間を3週間と想定して当社関連会社の穀物サイロ会社において備蓄在庫を保有しております。
    [長期ビジョンへの影響:基本戦略①]
  2. 製品安全
    食品の安全性に対する消費者の意識は年々高まっており、法律や国からの指導、安全基準についても一段と厳しくなっております。
    当社グループは、食品の安全・安心を確実に実行していくために、HACCPを柱としてISO22000、GFSI認証スキームであるFSSC22000、ISO9001、AIBフードセーフティシステムを包括した当社独自の「食品安全・品質マネジメントシステム(FSQMS)」を運用し、予防的な対策と継続的な改善を行っております。また、万が一、製品の安全・安心に懸念が生じた場合に備えて、製品回収の仕組み・手順を構築しております。
    健康被害や法令違反が疑われる場合は、緊急製品安全委員会で対応を検討の上で製品の回収を決定し、社告やホームページ等で開示する体制をとっております。ただし、これらの想定範囲を超えた事象が発生した場合、例えば、食品安全上の不具合により原材料が調達不能となった場合の操業停止、製品回収によるコストアップ、一時的な出荷不能に伴う売上高の減少、信用低下に伴う顧客離れによる中長期的な売上高の減少等が発生し、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
    また、配合飼料についても安全・安心を確実にしていくためにISO22000の仕組みを構築しており、不具合が発生した場合は、食品と同等の体制で対応いたします。ただし、BSE、口蹄疫、鳥インフルエンザ、豚熱等の家畜伝染病の想定を超える規模の発生による配合飼料販売への影響等については、当社グループを含む飼料畜産業界全体に影響を与える可能性があります。
    [長期ビジョンへの影響:基本戦略①/⑤]
  3. 災害・事故・感染症
    将来発生が想定される大型地震(南海トラフ巨大地震、首都直下地震等)や近年多発している風水害(台風・大雨等)等の自然災害、火災・爆発等の事故や国家的警戒レベルの感染症の流行は、当社グループとしても重大なリスクと認識しております。
    当社グループは、生産拠点として全国各地に工場を有しております。これら工場設置地域においては、安全管理体制の確立や設備補強等の対策を講じておりますが、想定以上の大規模災害、事故、感染症が発生した場合は従業員の出勤不能、サプライチェーンの断絶、工場の操業停止による製品供給体制の停滞等を招き、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。平常時はリスクマネジメント委員会並びに主管部署にて情報収集及び事前準備等の対策を行っており、従業員の安全を最優先として適切な対応をとる体制を構築しております。
    災害対策として、毎年の災害訓練のほか、災害備蓄物資等の点検、整備を行うとともに、災害対策委員会を定期的に開催し、災害発生時の情報ルートや連絡手段の整備等の改善・見直しを行っております。万が一、災害が発生した場合、先ず従業員とその家族の安否を確認の上、災害対策規程に基づき、災害にかかる応急措置を迅速・的確に実施し、被害の軽減を図ってまいります。また、事業継続の観点から必要となる業務システムについては、最悪の事態を想定し、システムがダウンした場合に直ちに予備機に切り替えて業務を継続できる体制を整える等、BCPの見直しを継続的に実施しております。
    火災・爆発等の事故対策として、事故発生を防止する設備の導入、定期的な安全巡視の実施、教育・啓蒙活動を行うとともに緊急事態発生時に対応するためのマニュアルの整備等を行っております。
    感染症対策として、感染者が出た場合あるいはその蓋然性が高まった場合には、感染症対策本部を設置し、感染症のまん延防止、及び事業継続に向けて適宜適切に対応する体制を整えております。新型コロナウイルス感染症に対しては、出勤前の検温確認による出勤管理、不要不急の国内外出張の自粛、テレワーク(在宅勤務)、時差出勤の推奨、オンライン会議の活用等の密集化防止のための施策等を講じ、感染拡大防止に努めてまいりました。
    当社グループとしましては、今後も引き続き、お取引先様、お客様及び当社グループ従業員・家族の安全と健康を最優先に、食品メーカーとして安全・安心・安定供給の責任を果たすべく、事業の継続に努めてまいります。
    [長期ビジョンへの影響:基本戦略①/④/⑤]
  4. 情報セキュリティ
    ICTの発展に伴いサイバー攻撃の手口も年々高度化・巧妙化する等、当社グループを取り巻く経営環境において、サイバーリスクは高まっております。
    当社グループでは、リスクマネジメント委員会傘下の情報セキュリティ委員会を定期的に開催し、セキュリティ対策の検討・見直しを継続的に実施しております。また、パソコンの不審なプログラムの動作を検知し、実行を防止する「ゼロトラスト」の考えに基づいたセキュリティシステムを導入するとともに、基幹システムのデータバックアップ方法を見直し、復旧可能な仕組みの構築を進めております。さらに、近年では年々増加する標的型メール攻撃に対するeラーニング、各部署に配置した「IT推進者」への教育の徹底や人的対応力強化に注力しております。ただし、当社グループの想定を上回るサイバー攻撃を受けた場合、システム停止による製品供給の遅れ、情報漏洩による損害賠償、信用低下による顧客離れ等による売上高の減少等、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
    [長期ビジョンへの影響:基本戦略①/④]
  5. 気候変動
    当社グループは大地の恵みである多種多量な穀物を取り扱っており、穀物の生育は気候変動に大きな影響を受けることから、重大なリスクであると認識しております。
    気候変動に起因する自然災害の発生や気温上昇が穀物の生育過程に悪影響を及ぼし、穀物の品質悪化や収量の減少が想定されます。これは、原料の高騰ばかりか当社グループが安定的に製品を供給することが困難となり、事業活動に影響を与える可能性があります。
    気候変動リスクは、環境管理委員会傘下のTCFD委員会で分析を進めております。また、2021年12月にはTCFD提言への賛同を表明しました。当社グループでは「地球環境への配慮」を経営の重要課題の一つと捉えており、気候変動への対応が急務であると理解しております。TCFD委員会では、移行リスクと物理的リスクに分けてシナリオ分析し、気候変動が事業活動に与える影響を定量面と定性面で整理しております。
    この分析したリスク対応の一部を「昭和産業グループ 環境目標」と連動させ、食品メーカーとして特に重要と考えるCO2、食品ロス、水、プラスチックに関する目標として設定しました。環境管理委員会の傘下に設置したCO2排出量削減部会、食品ロス削減部会、水使用量削減部会、プラスチック使用量削減部会が中心となり、この目標達成に向けた取り組みを進めております。
    [長期ビジョンへの影響:基本戦略③/⑤]
  6. 人権
    多種多様な事業ポートフォリオを有する当社グループにとって、不当な職場待遇、強制労働、ハラスメント等の人権諸課題への対応、及び従業員の人権保護と関連法規制の遵守は非常に重要な課題と認識しております。あらゆる差別や偏見を排除し、従業員一人ひとりの多様なる個性・人格・能力を尊重し合う多様性に配慮した職場づくりが実現できない場合には、当社グループ及びブランドのイメージが毀損するとともに、従業員の生産性の低下、優秀な人財の獲得が困難になる等、当社グループの競争力が低下する可能性があります。
    当社グループでは「人権に関する取り組み基本方針」を制定し、この人権尊重の方針を土台として、互いを尊重し従業員一人ひとりが自らの強みを最大限発揮できる職場づくりに取り組んでおります。また、2020年に「昭和産業グループ調達方針」を制定し、人権尊重の考えをサプライヤーの皆様に共有してまいりました。今後、人権リスクアセスメントによりサプライチェーン全体における重要課題を特定し、人権デューデリジェンスや救済措置への対応を進めてまいります。
    [長期ビジョンへの影響:基本戦略④/⑤]
  7. 企業買収及び合弁事業
    当社グループは、長期ビジョンの基本戦略となる「基盤事業の強化」及び「事業領域の拡大」を実現するための手段として、国内外の企業買収や海外現地パートナーとの合弁等の可能性を常に検討しております。
    企業買収や合弁事業の実施にあたっては、当社グループ独自に策定したガイドラインに基づいた検証・審査プロセスを実施するとともに、外部専門家を活用することでリスクの低減を図っております。しかし、対象となる事業の環境変化等により、当初の想定通りにシナジー効果等が創出できない場合、当社グループの期待する成果が得られない可能性があります。また、企業買収等に伴い計上したのれん及び顧客関連資産については、それぞれの事業価値及び将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、対象となる事業において当初想定していた収益力が低下する等の理由により減損損失が発生し、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
    [長期ビジョンへの影響:基本戦略①/②]