誰でも簡単! 楽しいおやつタイムを実現
時代に合わせて多彩なホットケーキミックスを発売
〜昭和のホットケーキミックスHistory〜
1950年代に初のホットケーキミックスが誕生(1955年〜1960年代)
昭和産業のホットケーキミックスの歴史は、1950年代にスタートしました。
ホットケーキミックスは、天ぷら粉と同様に「プレミックス」(Prepared
Mix=調整粉)の一つで、日本では1952年以降に本格的に生産されるようになりました。そんな中、昭和産業では初めての商品である「ホットケーキの素」を1957年(推定)に発売します。
発売当時は、まだすべての家庭に冷蔵庫が普及していない時代でした。水を加えて焼くだけで、誰でも簡単にふっくらと香ばしく、おいしいホットケーキが作れるホットケーキミックスは、洋風のおやつへの憧れが特に強かった高度経済成長期において、まさに夢のような商品だったことでしょう。
また、昭和産業では"1960年秋にはホットケーキの素に粉末メイプルシラップを添付すると同時にビン入りシラップを発売した"という記録があります。ホットケーキミックスの商品は粉のみが多い中で、シロップを添えて販売したというのも、ホットケーキミックスのパイオニアらしい付加価値でした。
発売から約10年経った1968年には、ホットケーキミックスの品質改善を目指した「ホットケーキメーク」も発売。品質、パッケージともにブラッシュアップを図りつつ、時代に合わせた商品を生み出していきました。
昭和のホットケーキの素
ホットケーキブームの先駆けとなったのが、1957年に発売された「昭和のホットケーキの素」。これに続いて翌年には「昭和ホットケーキの素
ゴールド」も発売された。1960年には、粉末メイプルシロップを添付した「昭和ホットケーキの素
粉末メイプルシラップ付」も登場し、ブームに乗った。
昭和ホットケーキミックス
1963年には、商品名が「ホットケーキの素」から「昭和ホットケーキミックス」に。3段重ねのホットケーキにバターとメイプルシロップがかかった定番のスタイルがパッケージに描かれている。
どんな時代だった?
高度経済成長期真っただ中の1955年頃から1960年代は、ラーメンやコーヒーなどの「インスタント食品」が発売され、これまでの日本の食生活や食文化が洋食嗜好へと大きく変化していった時代でもありました。
"ホッペがおちる"「ホットット」が1973年に登場!(1970年代)
1960年代後半から1970年代に入ると、ドーナツミックスやその他のケーキミックスを含めて、スイーツ系プレミックスのバリエーションが豊富になりました。昭和産業はホットケーキミックスの老舗として、時流に合わせたブラッシュアップを図り、お客様に愛される商品を届けるべく開発を続けました。
そんな中、1973年に発売されたのが「昭和ホットケーキミックス
ホットット」です。愛らしい響きのネーミング。そして男の子と子犬のキャラクターが登場する赤いパッケージは、従来のホットケーキミックスとはまったく異なるイメージでした。"ホッペがおちる"をキーワードとしてほのぼのとした雰囲気を伝えることで、よりアットホームで親しみやすい商品として売り出したのです。この商品は、新聞・雑誌広告のほか、アニメーションコマーシャルも全国的に放映されました。
さらに1977年秋からは、パッケージに初めて英文字ロゴを使った「Hotcake
Mix」を発売。グリーンを基調に「自然」を感じさせるパッケージで、洗練された新しいイメージを打ち出しました。
1970年代は、オイルショックによって日本の経済が大打撃を受けた時代でもありました。ホットケーキミックスの販売にとっても受難の時期でしたが、家庭でできるおいしいおやつの定番として、「昭和のホットケーキミックス」は少しずつ進化を遂げていたのです。
昭和ホットケーキミックス「ホットット」
1973年に発売されたホットケーキミックス。イメージを一新したパッケージで、メディアでも大々的にプロモーションが行われた。
昭和ホットケーキミックス(Hotcake Mix)
爽やかなグリーンを基調にし、英文字のロゴでナチュラル感、新鮮さを打ち出したパッケージは、1977年に発売された。
どんな時代だった?
1970年代は、ファミリーレストランやファストフードがオープンし、外食黎明期といわれます。食の欧米化が進むと同時に、家族で外食をすることがレジャーの一つとして浸透していきました。一方で、1973年に起こったオイルショック(石油危機)により、トイレットペーパー、食料品の買い占めなどの騒動も起こりました。
ホットケーキにも機能性を! 健康志向の商品が話題に(1980年代)
昭和産業では、時代とともに変化していく日本の食生活やお客様のニーズの多様化に合わせ、先を見据えた商品開発を行ってきました。1980年代は、世界の料理が流行し、外食の選択肢がますます豊富になり、1990年代初めに向かってバブル景気が到来。飽食の時代と呼ばれました。一方、消費者の健康志向が徐々に高まってきたのもこの頃でした。通常の食事では不足しがちな栄養素を補ったり、健康維持や推進に役立つ食品を「健康やダイエットのために積極的に選択する」動きが出てきたのです。
1980年発売の「昭和ホットケーキミックス」は、パッケージに「育ちざかりにはカルシウム」と記載され、ホットケーキを食べてカルシウムが摂れることをアピールした商品でした。1983年に発売された「小麦胚芽入り 昭和DO-UPホットケーキミックス」は、ヘルスケア食品「昭和ドゥアップ(DO-UP)」シリーズの商品。ビタミンEやB群など体に必要な栄養素を豊富に含んだ小麦胚芽を加え、はちみつやさとうきび由来の黒糖で甘みを加えたまろやかな味わいが特徴です。ホームメイドのお菓子で家族の健康づくりができることをアピールしました。
昭和ホットケーキミックス
1980年に発売の「昭和ホットケーキミックス(425g)」は、クリーム色のパッケージにカルシウム入りと記載し発売された。
小麦胚芽入り 昭和DO-UP ホットケーキミックス
1983年発売。小麦胚芽を配合したホットケーキミックス。ヘルスケア食品の「昭和DO-UP」シリーズの一つとして販売された。
どんな時代だった?
高級フランス料理、イタメシ、カフェバーなど、バブルを象徴するキーワードにあふれた1980年代。焼き立てクレープや海外のアイスクリーム店が登場し、町では「立ち食い」「行列」が流行しました。パリの高級老舗レストラン「トゥール・ダルジャン」の初めての支店が日本上陸。オープン時には日本人客が殺到しました。
スイーツ百花繚乱時代! 赤いパッケージのロングセラー商品を発売(1990年代)
1990年代は、同年に一大ブームが沸き起こったティラミスを皮切りに、タピオカ、パンナコッタ、ナタデココ、クレーム・ブリュレ、カヌレ、ベルギーワッフルなど、世界各国の様々なスイーツが流行。
1999年には「昭和ホットケーキミックス」を発売。牛乳、卵は各ご家庭に常備されていると考え、乳製品や卵粉末などを添加しないシンプルな配合としました。現在、「昭和ホットケーキミックス」といえば、赤い箱に入った商品を思い浮かべる人も多いと思います。この商品により昭和ホットケーキミックスの認知度が向上し、現在のホットケーキミックスシェアNo.1獲得につながりました。また、同じく1999年にはカルシウム・マグネシウム入りのホットケーキミックスも発売されました。
北海道小麦粉100%ホットケーキミックス
1994年には「北海道小麦粉100%ホットケーキミックス」を発売。ミルクカルシウム入りで、ふんわりしっとりの食感とバターの香りが特徴。
昭和ホットケーキミックス
1999年発売の「昭和ホットケーキミックス」。乳製品、卵粉末など配合せず、アレルゲンの少ない配合がきっかけとなった商品。昭和のホットケーキミックスが広く世間に知られるようになった。
どんな時代だった?
ティラミスが大ヒットし、一気にスイーツの時代に突入した1990年代。お菓子やデザートを「スイーツ」と総称し始めたのもこの頃からで、目まぐるしくトレンドが移り変わっていきました。シェフ、パティシエなど、これまでは裏方となっていた"作り手"が注目され始めた時代でもあり、料理人同士による料理対決がテーマの新しい切り口のテレビ番組も人気でした。
本格志向、多彩なシーンで楽しめるホットケーキミックスが人気に(2000年代)
ホットケーキミックスは、手軽に誰でも失敗せずにおいしいホットケーキができることが最大の魅力。2000年代になると、その商品特徴は残したまま、さらに消費者がそれぞれの好みで選べる多彩な商品が登場しました。2005年に発売された4商品は、それぞれ異なるアプローチでホットケーキミックスのすそ野を広げました。
「ケーキのようなホットケーキミックス〜パティシエ仕立て」は、"大人のおやつ"をコンセプトにした高級志向の商品。この時代は、"プチ贅沢""ご褒美スイーツ"といった言葉も流行し、とりわけ高級スイーツとそれを生み出すパティシエに注目が集まっていました。そこで、実力・人気ともに評価が高い「ル・パティシエ・タカギ」のオーナーシェフ、高木康政氏の監修のもとで、家庭で手軽に大人のスイーツが楽しめるホットケーキミックスを開発したのです。この商品は、発売から3年後の2008年にお客様の声を生かしてパッケージデザイン、品質をリニューアル。現在でも人気商品の一つとなっています。
また「いろいろ洋菓子が作れるホットケーキデザートミックス」は、その名の通りデザートミックスとしての汎用性を追求した商品。レシピサイトやレシピ本などで、ホットケーキミックスを使ったアレンジレシピが多数紹介される中、お客様からは「簡単だが、何を作ってもホットケーキミックスの味」「手作りの素朴な味わいにならない」といった不満点も寄せられていました。そこで、洋菓子専用の薄力小麦粉を使用し、原材料の配合にも工夫を凝らした"手作り風"の素朴な風味と香りが楽しめるホットケーキミックスに仕上げました。
さらに、豆乳ブームを意識して開発されたのが「豆乳でつくる大豆ホットケーキミックス」です。この頃ホットケーキの食シーンは、おやつだけでなく、朝食や休日のブランチなどでの需要も徐々に多くなってきていました。
昭和ホットケーキミックス600g(200g×3袋)
2005年発売した、現在の主力商品「昭和ホットケーキミックス
600g(200g×3袋)」。バニラの香りが特徴のふんわりしっとり食感のお徳用サイズ。
ケーキのようなホットケーキミックス
2005年発売、2008年にパッケージ、品質ともにリニューアル。人気パティシエの高木康政氏が監修し、ケーキ専用の薄力小麦粉、粉末バターやチーズを使用することで表面はサクッと、中はふんわり、しっとりとケーキのような焼き上がり。本格的な味わいを目指し、おいしさを追求するため、卵を2つ使ったレシピを提案した。
どんな時代だった?
レシピサイト、グルメレビューサイトなどが人気となり、料理やスイーツを"食べる前に"撮影し、写真をSNSで公開する習慣が一般的になり始めました。一方で、大きなキーワードとなったのは「食の安全・安心」でしょう。狂牛病(BSE牛海綿状脳症)問題から、数々の食品メーカーによる食品偽装問題が明るみになるなど、消費者の食に対する眼も厳しくなりました。また、2001年には卵や乳といった特定原材料について商品パッケージにアレルギ―物質として表示することが義務化されました。このことは卵や乳を配合していない昭和のホットケーキミックスにとっては追い風となりました。
人気のパンケーキミックスも登場し、ラインナップはますます多彩に!(2010年代)
2010年代に入ると、ライフスタイルの変化と消費者ニーズの多様化はますます顕著になります。家庭では、「時短」「簡単」でありながら本格的な料理をサポートする商品やキッチン家電が人気となり、ホットケーキミックスのカテゴリーも個性が広がりました。
また、2010年前後から海外発のパンケーキ店が続々オープンし、セレブに大人気の話題性と華やかなトッピングが魅力となり、パンケーキが大ブームとなりました。そのブームを受けて、当時、話題の中心だったハワイアンパンケーキを品質目標にして商品を開発。あまり膨らまないタイプの甘じょっぱくしっとり、やわらかなパンケーキが、2013年に発売となった「デザートパンケーキミックス」。これに対して"甘さをかなり控えチーズ風味でやや塩味のある食事向けしっとりパンケーキ"を目指したのが、同時発売の「ブランチパンケーキミックス」です。
その後も、2016年には主力商品の一つ「昭和ホットケーキミックス600g(200g×3袋)」を、「小麦粉屋さんのホットケーキミックス」にリニューアル。また、もちもち食感ブームとトレンドの和スイーツを意識して抹茶を配合した「和ホットケーキミックス」を発売。2017年にはプレミックスとして日本初の機能性表示商品となる「大麦粉のホットケーキミックス」を発売し、2018年に「DHAホットケーキミックス」、2020年は「ミルクプロテインホットケーキミックス」を発売しました。
まだパンケーキブームが続く中、2020年代に近づくとトレンドは、厚さ薄めのハワイアンタイプからふっくらふんわりスフレタイプに移行しました。このような時代背景のもと、昭和産業は、お客様の様々なライフスタイルに寄り添うようにリニューアルを行い、新商品をお届けしています。
デザートパンケーキミックス
2013年発売。食シーンに合わせてフルーツ、ナッツ、生クリームなど様々な具材を合わせてスイーツとして楽しめるように開発されたパンケーキ。
大麦粉のホットケーキミックス
2017年発売。主原料の大麦粉に含まれる大麦β-グルカンは、糖の吸収を穏やかにする機能があることが報告されており、プレミックスの分野では日本で初めての機能性表示食品として認可された。
どんな時代だった?
2010年代はSNS文化が急速に広まり、"写真映えする"スイーツ、料理、ドリンクが注目され、店頭には長い行列が。また、健康志向の高まりとともに糖質オフ、グルテンフリー、ヴィーガン料理などもトレンドに。また「食の安全・安心」の観点では、2011年頃から一部のベーキングパウダーに含まれているアルミニウムについて、健康への影響が話題となりました。昭和産業では2013年からはアルミニウムを使用したベーキングパウダーは使用しないこととしました。
そして時代は平成から令和へ。2020年には世界を襲った新型コロナウイルスにより、"おうちごはん"の需要が一気に上昇。自宅でお菓子やパンづくりなどをする人が増え、小麦粉、ミックス粉類が一時スーパーから姿を消すという現象も起こりました。