ハンバーグのパテは、牛肉100%や牛肉と豚肉のミックスなどで提供するレストランも多い中で、同店では12年前のオープン当初から「岩中豚」のおいしさに惚れ込み、"岩中豚100%"にこだわり続けてきました。
「岩中豚のハンバーグを食べると、豚肉ってこんなにおいしかったんだ! と改めて感動していただけると思います。豚肉特有のクセがなく、肉質は柔らかくてあっさりしていながら、うま味がたっぷり。バランスの良いおいしさで、豚肉本来のうま味を楽しむにはハンバーグは最適です」そう話すのは、店長の清原悟さん。
同店では、「岩中豚」の肩ロース肉を中心に、バラ肉、ホホ肉、カシラ肉の4種類の部位を、それぞれ挽き方を変えて配合。ヨーグルト、玉ねぎ、スパイスなどをブレンドしてオリジナルのパテに仕立てます。焼く時は、まず厚手の鉄板でじっくりと両面を蒸し焼きにし、その後オーブンでローストすることで肉のうま味を閉じ込め、凝縮させます。一枚のハンバーグが焼き上がるまでにかかる時間は約15分。その待ち時間さえもワクワクしてしまうのが同店の魅力です。
ハンバーグメニューは、ベースとなる「プレーン」をはじめ、「ブラックペッパー」「軟骨」「モッツァレラチーズ」など6種類があり、一番人気は、パテの中にドイツ産のモッツァレラチーズを包み込み、さらに仕上げにものせた「モッツァレラチーズ」(170g 1,380円、200g 1,580円)。「岩中豚」独特のジューシーであっさりとしたうま味と、とろりと溶けたチーズのまろやかさが合わさってリッチな味わいが生まれるこのメニューは、女性客からの注文が圧倒的に多い一品です。また、ハンバーグにはお好みに合わせて「デミグラス」「柚子胡椒」「クリームマスタード」の3種類のソースを選ぶことができるので、その日の気分でハンバーグとソースの組み合わせを変える常連客もいるのだとか。「岩中豚」へのこだわりはもちろん、パテの配合、焼き方、ソースなど、すべてに"オリジナルのおいしさ"を追求した同店のハンバーグが、多くの人に愛される理由がよくわかります。
「おいしい豚肉」を追求して飼料を改良、健康的な肉を育てる
同店のハンバーグ人気を支える「岩中豚」は、「有限会社ケイアイファウム」(岩手県北上市)で生産されています。「岩中豚」は全国の銘柄豚の中でも、そのクオリティの高さから和食や洋食、中華など幅広いジャンルの飲食店がこぞって取り入れている素材。ケイアイファウムでは、「おいしい豚肉をお客様に届けたい」という思いで、1960年代から「岩中豚」の開発に取り組んできました。現在では、北上平野と岩手山のふもとにある環境に恵まれた二つの農場で、常時1万3,000頭もの豚がのびのびと育まれています。
「おいしい肉を作るには、良い飼料と良い環境が重要です。そのため、創業当時からお付き合いをさせていただいている昭和産業と何度もディスカッションを重ねて専用飼料を改良し、ようやく今の形にたどり着きました」そう話すのは、ケイアイファウムの常務取締役(生産・販売担当)の宮地博史さん。
「岩中豚」は、SPF豚(豚肉の発育を妨げる特定病原菌がいない、健康に育った豚肉のこと)で豚肉特有の臭みが少なく、赤身(うま味)と脂身(甘味)のバランスがほどよく取れていることが特徴。さらに、ビタミンE含量が豊富なことから酸化しにくく、保水性も良いことから、おいしさが長持ちすることも、多くの飲食店で選ばれる決め手となっています。
そういった理想の豚肉に仕上げるため、飼料には大麦やトウモロコシ、マイロを使用。さらに、健康な豚に育てるためにイソマルトオリゴ糖を加えるなど、細部にまでこだわったオリジナル配合の飼料で大切に育てています。また、季節や気候に合わせて配合を微調整するなど、豚の健康管理や品質管理にも余念がありません。
「私たちの「岩中豚」を大事に使っていただいている「ハンバーグ ウィル」さんを訪れると、お客様が本当においしそうに食事をしていらっしゃるので、嬉しい気持ちになります」と宮地さん。おいしさにこだわった豚肉と、その魅力を100%伝える「ハンバーグ ウィル」。生産者と飲食店をつなぐ大切な素材にも、昭和産業の技術が生きているのです。