EN VEDETTE(アン ヴデット)(東京都江東区)

今よりも「さらにおいしく」!
食べる人を魅了する、常に進化する個性派パティスリー

ここ数年で話題のカフェやレストランが続々とオープンし、昔ながらの下町の風情を残しつつモダンな街並みへと変化を遂げているのが東京都江東区の清澄白河エリア。"日本のブルックリン"とも称されるこのエリアに、2016年10月にオープンしたのが、パティスリー「アン ヴデット」です。

ショーケースに並ぶ彩り豊かなケーキやチョコレート、モダンなデザインのパッケージが目を引く焼き菓子、焼きたてのパンなどが並ぶ店内は、近隣の常連客をはじめ遠方からわざわざ足を運ぶファンなどで、終日客足が絶えることがありません。休日ともなるとおよそ250人ものお客様が訪れ、行列ができるほどの超人気店です。

アン ヴデット(左)とシトロネ(右)
"主役"という意味の店名を冠した「アン ヴデット」(左、580円)は、スイーツには珍しい松の実のペーストを使ったチョコレートムースに、ラムレーズンとアーチ型に仕立てたブロンドチョコレートを飾った個性的な一品。季節限定の「シトロネ」(右、520円)は、レモンの爽やかな酸味が夏にぴったりの味わい。ボトムのサブレバニーユには『ラフィネリュバン』を使い、ホロホロと口の中で崩れる軽やかな食感がレモンムースとの一体感を生み出している。

オーナーパティシエの森大祐さんは、都内のパティスリーで経験を積んだ後に渡仏。パリの名店「ローラン・デュシェンヌ」や「モワザン」でさらに腕を磨いて帰国し、同店をオープンしました。世界的な洋菓子の大会でも数多くの受賞歴を持ち、今や日本を代表するパティシエの一人でもある森さんは、開業当時の思いをこう話します。
「店名の"アン ヴデット"には、フランス語で"主役"という意味があります。街の主役となるパティスリーとして、そして常にお客様にとっての主役となるお菓子を提供し続けることを目指して、この名前をつけました」

その言葉通り、同店の商品は素材だけでなく、小麦粉の配合や味のバランス、デコレーション、パッケージに至るまで、細部までこだわり抜いたものばかり。そんなエッジの効いた商品作りにおいて欠かせないパートナーとなっているのが昭和産業の製品です。

お店では、現在商品によって4種類の小麦粉を使い分けていますが、オープン以来、菓子類の基本の粉として愛用しているのが昭和産業の菓子用小麦粉『C blanc(Cブラン)』なのだそう。
「焼き菓子やケーキのビスキュイ(卵黄と卵白を別立てにしたふんわりと軽い食感のスポンジ生地)には『Cブラン』を使っています。仕上がりの安定感があって扱いやすく、幅広いお菓子に合いますから。一方、『Cブラン』をベースにしつつ、プラスアルファの特徴を加えることでよりおいしさが進化するケーキもあります。それが、当店こだわり商品の一つでもある「ガトーフレーズ」です」と森さん。

ガトーフレーズ
「ジェノワーズ(スポンジ)をおいしく食べてもらうショートケーキ」を目指して、試行錯誤を重ねた自慢の一品、「ガトーフレーズ」(450円)。スポンジは、『Cブラン』と『ラフィネリュバン』を1:1の割合で配合し、口溶けと食感のバランスの良い生地に仕上げた。サンドする生クリームも、スポンジやイチゴとの相性を考え、コクはあるがキレの良い関東圏産の生クリームを使用している。

「ガトーフレーズ」は、いわゆるイチゴのショートケーキです。新しくモダンなケーキが数多く登場しても、日本人にとって"永遠のNo. 1"といえるのがイチゴショート。ジェノワーズ(卵を共立てにした、しっとりときめ細かいスポンジ生地)と生クリーム、イチゴというシンプルな組み合わせだからこそ、素材の良さがダイレクトに伝わるケーキでもあります。

「このケーキは、ジェノワーズの魅力をしっかりと味わっていただけるイチゴショートにしたかったのです」と話す森さん。
最近は、生クリームのおいしさを魅力としているケーキが多く見られますが、「ガトーフレーズ」はしっとりと口どけの良いジェノワーズと、コクがありながらもすっきりとした味わいの生クリーム、甘酸っぱいイチゴが引き立てあった絶妙のバランスが最大の魅力です。

ジェノワーズは、『Cブラン』と今年2月に新発売された『ラフィネリュバン』を1:1で配合。この割合にたどり着くために、「まず『ラフィネリュバン』100%でジェノワーズを焼き、その特性を見極めてから『Cブラン』を加えました」と森さん。
繊細でふんわりと柔らかく、口溶けの良い『ラフィネリュバン』の生地に、『Cブラン』特有のほどよいコシが加わったことで、イチゴショートの魅力を高めるジェノワーズが誕生したのです。

「ここでなくては買えない」主役を常に目指して商品を開発

「アン ヴデッド」では、多彩なケーキや焼き菓子だけでなく、パンもおいしいと人気です。ケーキのショーケースの上には、種類こそ少ないですが、専門店に負けず劣らず森さんのこだわりが詰まった商品が並んでいます。その中で、「パリの修業時代によく食べていたバゲットのおいしさを再現したくて」と発売した「ドゥミ バゲット」は人気商品の一つ。パリッと香ばしいクラストと噛みしめるほどに旨味のある、もっちりとしたクラムとのコントラストが魅力で、豊かな小麦の香りが上質感のあるおいしさを生み出しています。

ドゥミ バゲット
フランスでの修業時代、「バゲットが大好きだった」という森さん。その時に感動したおいしさをお客様にどうしても届けたくて、わざわざバゲット専用の石窯を導入して焼き上げているのが、ハースブレッド用粉『blé du A(ブレドA)』を使用した「ドゥミ バゲット」(180円)。

「最初は国産小麦粉を使って焼いていたのですが、2月に発売された『ブレドA』を試してみたら手放せなくなってしまって(笑)。小麦の風味といい、噛みしめた時の旨味といい、まさに理想とするバゲットを実現できました」と、森さんは話します。

マカロンパン
『ブルチアーレ』を使ったバターたっぷりのブリオッシュ生地にマカロン生地をのせて焼いた新商品の「マカロンパン」(250円)。中に詰められたミルキーな自家製カスタードクリームと食感の違う二つの生地が相まった、まさにお菓子屋さんならではの贅沢なおいしさが楽しめる逸品。

また、6月から発売した新商品「マカロンパン」は「パティスリーにしかできないパンを作りたい」という森さんの思いが表現されたパン。『ブルチアーレ』を使ったバターたっぷりのブリオッシュ生地にマカロンの生地をのせて焼き上げ、中にはコクのある自家製のカスタードクリームを詰めたという独創的な一品。
「バターリッチな生地にしたかったので、バターの風味に負けない小麦粉が使いたかったんです。『ブルチアーレ』を使うことで、バターの風味を受け止めてしっとりソフトな食感に仕上げることができました」

リーヴルクーヘン
約25種類のラインアップがある焼き菓子のベースには、菓子用小麦粉『Cブラン』を使用。バウムクーヘン「リーヴルクーヘン」(各300円)は、アーモンドとバターの風味が豊かでしっとりとした食感の生地に、アプリコット、フランボワーズなどのパート・ド・フリュイをサンドした看板商品。フランス語で本を意味する"Lievre(リーヴル)"に合わせて本の形にデザインしたオリジナルのパッケージは、見た目もおしゃれで贈り物にもぴったりと喜ばれている。

多彩な素材を駆使し、こだわり抜いたオンリーワンの商品でお客様を喜ばせ続ける「アン ヴデット」。「常に主役であり続けたい」そう言い切る、森さんの挑戦がこれからも楽しみです。

店内風景
東京メトロ半蔵門線清澄白河駅より徒歩5分ほど。古い町工場などもあり下町情緒が残る一角にある同店は、平日でも約150人、休日となるとおよそ250人ものお客様が訪れる繁盛店。真っ白いファサード、モダンな雰囲気の店内には、生ケーキ約22種類、焼き菓子約25種類のほか、「ドゥミ バゲット」や「クロワッサン」などのパンも並ぶ。他では味わえない洗練された味を求めて、近隣のお客様だけでなく遠方から足を運ぶ人も多い。

コラム

店長 森 大祐さん

「変わり続ける」ことで魅力を発信する

「うちの店は、新しい商品だけでなく既存の商品もどんどんレシピをブラッシュアップします。もちろん、お店に商品を出す時点では100%の完成度ですが、パティシエも人間なので味覚も考え方も変わっていきますから。"その時に最高のもの"をお客様に提供するためには、立ち止まってはいけない。常に変わり続けなければ」と森さん。毎日お店の商品を食べ、さらに良くなる方法を常にイメージしていると話します。「ガトーフレーズ」のブラッシュアップも、そんな姿勢から生まれたもの。普段から"おいしいもの"を追求することに余念がないという森さんは、和食やフランス料理など、パティスリー以外のお店からヒントをもらうことも多いのだとか。「例えば、レストランでデザートを食べた時のフレッシュ感やライブ感。それをテイクアウトが基本のパティスリーでどう表現できるのか。まったく異なるジャンルからインスピレーションを得ることも多いですね」
多くの可能性を模索する中で、"素材"すなわちベースとなる小麦粉のバリエーションを持っていることは強みだそう。「他の素材との組み合わせや小麦粉のちょっとした配合の違いなどで、新しいおいしさが生まれることもあります。そんな挑戦が日々楽しみです」と森さんは笑顔で話してくれました。

※ 記事中の価格などの情報は取材時のものです。

このお店で使っているのは?

ラフィネリュバン

『ラフィネリュバン』

2019年2月15日発売の菓子用小麦粉。『ラフィネリュバン』は、フランス語で"上質なリボン"を意味する。原料選定をこだわり抜くことで、口の中で生地がホロホロとほどけていくような上質な食感を実現。製法を選ばず、幅広いお菓子に利用できる。

『ラフィネリュバン』の詳細はこちら

C blanc(Cブラン)

『C blanc(Cブラン)』

菓子用小麦粉。小麦の持つ特性を生かしながら作られた小麦粉は、ふんわりと口溶けが良く、軽やかなスポンジ生地に仕上げることができる。ショートケーキやロールケーキなどに最適。

『C blanc(Cブラン)』の詳細はこちら

blé du A(ブレドA)

『blé du A(ブレドA)』

2019年2月15日発売のハースブレッド用小麦粉。独自の特殊小麦粉粉砕法を用いることで、小麦の豊かな風味と旨味を引き出している。バゲットやクロワッサン、チャバタなど多彩な生地に利用できる。

『blé du A(ブレドA)』の詳細はこちら

ブルチアーレ

『ブルチアーレ』

歯切れが良く、のど越しがすっきりとした心地よさのある食感を目指したパン用粉。しっとりとソフトな食感、ふんわり感のある生地に焼き上がるのが特徴。

『ブルチアーレ』の詳細はこちら

店舗 DATA

店舗外観
店名 EN VEDETTE(アン ヴデット)
住所 東京都江東区三好2-1-3
電話 03-5809-9402
営業時間 10:00~19:30、日曜10:00〜19:00
定休日 水曜(都合により変動あり)
ホームページ http://envedette.jp/
客単価 2,000円
1日の来店数 平日約150人、土日祝日約250人

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